5 大気圏突入
これまた冒頭からブライトがおもしろすぎて......そして、今回のテーマは「名前」である。
地球生まれサイド7居住のおじいさんとアムロとの会話。孫のラジコンが故障して困っていたところをアムロが修理して助ける。「両親がいなくなってからというものこんなものと1日中遊んどるんです」。昔は南米でコーヒー豆をつくっていたそう。「今度地球へ帰ったらわしは絶対に動かんよ」。なんてことないエピソードだが、
コンピュータと遊ぶ子どもに対する老人の否定的な感情
ジオンだけでなく連邦政府の身勝手
の紹介になってる。
さらにこの老人の描写があることで「地球への帰還」が単なる作戦の成功ではなく、その重み、感動を増す。
もうブライトのイキリがほんとおもしろすぎて.....。
大気圏突入25分前。「ミライ、自信はあるか?」とブライト。「スペースグライダーで一度だけ / 大気圏に突入したことはあるわ / けどあのときは地上通信網がきちんとしていたし / 船の形も違うけど」
これに対するブライトの答えが爆笑である。
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「基本航法は同じだ / サラミスの指示に従えばいい」
いや、お前こそ大気圏突入したことないやろ。先日はじめて宇宙に出たおぼっちゃんが何抜かす。意味不明なマンスプやめろや、である。さっきまでジュース飲んでたのに、ミライさんのこの真顔www
「私が心配なのはシャアがおとなしく引き下がったとは思えないことなの」。ミライの判断は常に正しく、その「2手、3手先を読むセンス」は実はシャアと同等なのだけど、これに対する凡人ブライトのセリフが
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ミライ 君は大気圏突入することだけを考えていてくれ
本当に「凡」である。そもそも集中していたミライさんに対して、お前が不安になって「大気圏突入いけるか」と話しかけたから集中が削がれただけやろ。
ミライは大気圏突入に集中している。【だから】「問題はむしろシャア」なのだ。それなのに、ブライトは不安になったからミライさんに「大気圏いける?」と聞き、「集中してくれ」などと命令している。ほんまのアホや.....。
そしてリード中尉からは「若造」と呼ばれるブライトwwww ほんとにいいところないですね。
「ちゃんと大気圏突入しろよ」とリードから言われたブライト。はい!了解しました!と返事だけいいが、「ミライ!」と実務は結局ミライに押し付け。
そしてまたシャアが補給を受けているという情報を受けて、「ってことはシャアは我々の襲撃を諦めたのか?」と考えるブライト。いや、だから、なんでそうなるwww フラグを立てる役回りばかりで、だんだんかわいそうになってきた。
ガンダムをまだたったの5話しか見てない自分ですら、シャアの行動パターンは読めた。とにかくシャア、奇襲大好き、リスク大好きっ子なのである。兵とは詭道なり。「来ないと思う」ってことは「絶対来る」ということなのだ。なぜそれがわからない。
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ミライさんは常にジュースを飲んでる。これ何かあるんかね。気になる。
「後方援護ミサイル打てないのか!」焦るブライトに今回も出ました、これでもう何度目?の「ブライト! 落ち着いて」。
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これもかなりショッキングというか、アムロの攻撃で死んだジオンの兵士、その死ぬ前のわめきをきちんと描くのすごい。これまでのアニメではそんな表現なかったんじゃないだろうか(これについてはロボットものを全然知らないのでただの推測)。
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大気圏突入で燃え尽きるザクとクラウン。
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新武器ガンダムハンマー。ここでハンマーって武器のセンスよ。そして、必ず毎回新しい戦い方を見せてくれるガンダム。毎回同じ戦い方や強さなのではなく、学習し成長するのがガンダムのすごさなのだが(4 ルナツー脱出作戦参照)それはそのまま『機動戦士ガンダム』という作品のすごさだ。
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これも地味だけどすごい。アムロはシャアの名前知ってるし、今戦ってる相手がシャアだとわかってるのだが、シャアはアムロのこと知らないから「このパイロット」でしかないんだよな。この非対称性と、だからこそシャアの「誰だかわからない相手に遅れをとっている」不安がうまく表現できてる。
そう、今回のテーマは「名前」なのだ。
シャアの視点からすれば、クラウン、コムらはただの兵士でも部下でもない。同志なのだ。だから、シャアは必ず自軍の兵士の名前を呼ぶ。デイル・カーネギーも人を動かすの中で書いているが、名前とはその人にとって最も甘い言葉だ。
私たちは、名前に込められた魔法を意識すべきである。名前は、当人だけが所有するものであり、他の誰のものではないことを認識すべきなのだ。名前によって、その人は他の誰とも違う存在となる。私たちが伝えようとする情報や依頼は、その人の名前とともに伝えることで、特別な意味を持つようになる。給仕から会社重役に至るまで、私たちが他人と接する時、名前は魔法のように作用するのである。デイル・カーネギー. 人を動かす 改訂文庫版 (p.107). 創元社. Kindle 版.
フランクリン・ルーズヴェルトは、人に好かれる一番簡単で、わかりきった、しかも一番大切な方法は、相手の名前を覚え、相手に重要感を持たせることだということを知っていたのである。ところで、それを知っている人が、世の中に何人いるだろうか。 / 初対面の人に紹介され、二、三分間しゃべり、さて、さようならをする時になって、相手の名を思い出せない場合がよくあるものだ。 「有権者の名前を覚えること。それが、政治的手腕というものである。それを忘れることは、すなわち、忘れられることである」。これは、政治家の最初に学ぶべきことである。
デイル・カーネギー. 人を動かす 改訂文庫版 (pp.105-106). 創元社. Kindle 版.
シャアはその人の名前を呼ぶ。そして、その一人一人が死ぬ前に「シャア少佐!」「シャア少佐!」と名前を呼ぶのである。
他方でシャアにとって戦闘相手のアムロは名前すら知らない「このパイロット」でしかない。
そしてもちろんアムロは自分が倒したザクのパイロットたちの名前を知らない。名前がないから「誰」がない。だから「ザク」としてしか認識できず、躊躇いなく破壊する=殺すことができる。けれども、アムロにとってのただの「ザク」は、シャアにとっては、「このパイロット」でしかないアムロなんかよりよっぽど重要な同志、人間なのだ。
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大気圏突入。このままでは燃え尽きる。いかにガンダムであろうともアムロであろうとも、この危機を乗り越えることは....そんな時。信じられないのだが、この危機的状況の中、なんとアムロはガンダムの説明書を読み始める。
アムロの強さは、この後で語られる(と言っても自分はガンダム未履修なので詳しく知らないのだが)ニュータイプであることなどから説明されるのだろうが、しかし、そのような説明が出てくる前までのアムロの強さは、実は「説明書を読み込み、機械の構造を理解していること」だったりする。
単なるパイロットだったら、これはできない。けれどもアムロはガンダム自体に興味があるロボットオタクなのだ。だから、普段から興味があって、ガンダムの構造を自分でいじって調べているし、説明書も読み込んでいる。だから「確かここらへんに大気圏突破の方法が.....」となる。
この後、なんとガンダムは耐熱フィルム(????)を張って、大気圏突入。一切の破損もダメージもなく、事なきを得る。マジか。
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お前が言うなwww
ここでもブライトの立場はマージナル。セイラやミライといった「部下」に対しては無能な上官であったり、指摘を否定する側であったりするのだが、リードのような自分の上官に対しては「あなたたちは何も理解してないんです」とでも言わんばかりに凛々しい顔で言い返すと。
これはガンダムの哲学/美学なのだろうけれど、「現場知ってる部下のほうが認識が正しく、上官になればなるほどまともな判断ができない」。
ブライトは上と下にはさまれてるので、上に対してはまともだが、下に対してはアホになる。
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そして常に髪の毛をくるくるいじるガルマ・ザビ登場。
シャアの作戦は二段構えだった。大気圏突入時の隙をつき攻撃をしかけること。うまく地球に突入されても起動角度を変更させ、ガルマ・ザビが支配するジオン軍制圧化の大陸に追い詰めること。果たしてホワイトベースの運命やいかに?次回に続く。
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